第3回:三宅島ツーリストトロフィーで予測される問題点(2)

 今回も、前回に引き続いて、実際に『三宅島ツーリストトロフィー』が開催されることになった場合に考えられる問題点を提起していこうと思う。
 もちろん、すべて素人目に考え、判断してのことなので、実際の問題点とはかけ離れている場合があるが、その点については何卒ご容赦いただきたい。

コースについて

 『三宅島ツーリストトロフィー』がバイク乗りの間で話題になっている理由のひとつに、「公道での開催を予定しているレース」であることが挙げられる。しかし、それが問題のひとつともなる。

三宅島一周道路

 三宅島には、周回できるコースがふたつある。ひとつは「三宅島一周道路」と呼ばれるもので全長は約29.5キロメートル。海岸線沿いぐるりと周回できる道路だ。そしてもうひとつは雄山の周りをぐるりと回っている環状林道(鉢巻林道)だが、こちらは現在、火山ガスの影響がある危険区域との境界線になっており、一般の人間は立ち入ることができない。ということで、レースとして使用するのは「三宅島一周道路」というのが自然な流れになるだろう。

路面状況1

 しかし、この三宅島一周道路は、三宅島に住む人たちの生活道路となっており、移動はもちろん、港に荷揚げされた物資の輸送にも使われる大事な道路である。そして生活のインフラ、たとえば上下水道や電力なども、この道路に沿った形で配置されているのだ。
 生活インフラとして使われているだけのことはあり、マンホールがあったり、路面のつなぎ目などがいたるところに散見できるのだが、これを問題点のひとつして挙げるのは想像に難しくないだろう。

路面状況2

 さらに考えられる問題として、道路のガードレールや排水溝、そして路面に流れ出た"砂"というのもある。
 路面に流れ出た砂については清掃を行えば済むことでもあるし、三宅島一周道路の中でも3箇所程度しかみることができなかったので、さほど大きな問題にはならないだろうが、道路のガードレールについては、本来歩行者の安全を守るために設置されているものである。しかしそれが、転倒したライダーの安全を保障するための設備ではない、という点については問題点と言えるのではなかろうか。


火山ガス

 現在も微弱ながら活動を続けている雄山は、わずかではあるが二酸化硫黄濃度(以下、火山性ガス)を排出している。この火山性ガスというものも、レース開催にあたってはひとつの問題となりうる。

三宅島

 まず、三宅島は現在、火山性ガスの濃度が高くなりやすい地域に対して、3つの立ち入り規制区域が設けられている。立ち入り禁止区域、危険区域、高濃度地区の3つがそれで、いずれの区域、地区に立ち入る場合でも、三宅島村長に宛てて書類を提出し、許可を得る必要がある。
 続いて三宅島は、大きく分けて6つの地区に分けることができる。伊豆・神着地区、美茂井・島下地区、坪田地区、立根地区、阿古地区、そして伊ヶ谷地区の6つだ。このうち、坪田地区と阿古地区のそれぞれ一部地区では現在も「高濃度地区」に指定されているのが現状だ。
 そして困ったことに、ふたつの高濃度地区は、三宅島一周道路の範囲に入っているのである。

坪田高濃度地区

 ただ、ふたつの高濃度地区は、ガスマスクを着用した状態であれば、普通に通過することは許されているので、走行の面では支障はないだろう。
 だがしかし、オフィシャルは事故や転倒が起きた場合に備えて、高濃度地区内に数時間は滞在することになる。オフィシャルは、多ければ多いほど助かるものなのだが、それと正比例して様々な処理が煩雑になること、そして人数分のガスマスクの確保というのは、ひとつの問題となるであろう。

付記:
 問題を提起しておきながら告白させてもらうが、筆者が三宅島を訪れた際には、ガスマスクを一度も携行していなかったこと、そしてガスの影響は微塵もない「いたって普通の旅」であったことも合わせて述べておく。
 しかし、これらの点については多分に筆者の主観が混じる部分でもあるので、可能であるならば実際に三宅島を訪れて、実は三宅島がどれだけ安全であるか、もしくは危険なのか、ということを第三者の視点から見た話を聞きたいものである。


ピット

 サーキットの付帯設備のひとつに、ピットの存在がある。しかし、当然のことながら公道にはピットと呼べる場所はない。この、ピットがないということは、ひとつの問題となりうるのではないだろうか。

 三宅島はもちろん、日本の各地において、公道にピットロード、ピット設備が整っているという話も聞いたことがない。
 そうなってくると、ピットを作るか、もしくは現在ある設備をそのままピットとして使用するかのどちらかになるだろうが、実際に見てきた感じではそんなに簡単に解決するものではないと考える。

37年噴火跡付近

 まず、新しくピットを作ることを考えて、可能な限り平坦な場所であり、視界がよく、可能な限り直線的な道路という条件で各所を見てまわった。しかし、うまく合致する場所は3箇所だけ。しかも、そのいずれもが高濃度地区内の場所であった。
 そのうちのひとつについては、周りが噴火跡の溶岩などの地域なので、火山性ガスの問題を除けば改修を加えることでピットとして利用することが可能だ。しかし、自然保護などの観点や費用などを考えた場合、果たして採算が合うものであろうか、と不安になってしまう。
 また、ほかの2箇所においては、人口密集地であり、当然ながら建物も建っている場所であった。そのままピットとして使うならともかく、改修して使うには三宅島に住む人たちの負担を増やすことになるであろう。

 では、現在ある設備をそのままピットロードとしてしまう場合はどうなのか、と考えると、これもまた難しいと言わざるを得ない。
 比較的広い場所はいくつかあるのだが、例えて言うならば「箱根駅伝の第2区から第3区へ移る戸塚中継所」のような場所であった。駅伝などであれば問題のない広さなのであろうが、いくつものチームがひしめく、バイクのピットとしては手狭としか言えないだろう。

 筆者は『マン島TT』について詳しく知らない。不勉強であると言われれば「その通りです」としか答えようがないのだが、果たして『マン島TT』ではピットロードをどのようにして確保しているのだろうか?


次回予告

 今回もいくつかの問題点について述べてみた。しかし、あともう少しだけ気になった部分があるので、次回もその問題点について述べてみようと思う。

三宅島ツーリストトロフィーで予測される問題点(3)