2回に渡って述べてきた、考えられる問題点についての対応案。必ずしも的確であるとは言えず、また突拍子もない内容ではあったが、対応案について述べるのは今回を最終回としたいと思う。
主役となるバイクの排気量
レースというものは、公道が舞台であろうがクローズドなサーキットだろうが、必ず危険が付きまとう。もっと言ってしまえば、どんなイベントでも多かれ少なかれ危険というものは存在するものだ。
たとえば、三宅島は御山を中心とした火山島であるがゆえに、過去の歴史の中で流れ出た溶岩によって、非常にアップダウンが激しく、またコーナーも多い島である。
このコーナーやアップダウンが、公道レースでの醍醐味なのだが、同時に危険な存在でもある。そしてそれは、バイクのスピードが速くなれば速くなるほど、比例するかのように危険度が増していくものだ。
そこでまず最初に提案したいことは『参加車両のレギュレーションを125cc以下にする』というものだ。
排気量の上限を下げることで、当然のことながら、レースとしてはつまらないものになってしまうと思われる。だが、それでも排気量の上限は下げるべきだと考える。
理由はいくつかあるが、そのひとつに、主催者側の経験不足が挙げられる。
日本の公式バイクレースでは、初の試みといわれる公道レースだけに、当然のことながら主催した人はひとりもいない。仮にいたとしても、三宅島での公道レースが行なわれていないだけに、どのコーナーが、どんな場所が本当に危険な箇所であるかを熟知している人がいないのだ。
そんな中をリッタークラスのマシンが駆け巡り、万が一重大事故が起きようものなら、第2回以降の三宅島レース開催が危ぶまれてしまう。そこでまずは、排気量上限を下げ、絶対的なスピードを落として、危険を減らそうというのである。
もちろん、回数を重ねて経験を積んだところで、排気量を上げていくことには反対しないが、その場合でも徐々に排気量を上げていくなどの処置が必要だろう。
誰でも参加できるレースを
日本で、バイクの公道レースを、それも三宅島のような島嶼部で行なうというのは、前代未聞のことだ。
だからといって1回で終わっていいものではなく、回数を重ねて少しずつ良いレースイベントに成長していくべきだと考える。
そのために必要なものは何であるか、と考えた場合、やはりバイクユーザーの盛り上がりが大事なのではないだろうか。
そこで提案したいのが『誰でも参加できるレース』にすることだ。
これは先に挙げた排気量の問題に関連しているが、小排気量のバイクをベースにして、誰でも参加できるような敷居の低いレースにすることで、より多くの人間が集まり、さらに観客も増えていくのではないだろうかと考える。
欲を言えば、このレースそのものを、お祭り騒ぎにしてしまいたいくらいだ。
たとえば、マシンはすべて主催者側で用意する。そして、フルフェイスヘルメットやツナギなどの安全装備一式を持ち、さらにMFJのライセンスを所持している人間であれば、誰でもエントリーできるようにしてしまうのだ。
こうすることで、イベントそのものを一過性のもので終わらせることがなくなるし、何よりも将来的にバイクレースに参加するユーザーを増やすことにつながるのではないだろうか。
ただ、同時に危険も増えるという矛盾点もはらんでいる。
レースに参加する人間が増えれば、それだけ接触や転倒、二次事故の可能性はグンと高まる。事故が起きる可能性が高まれば、自然と重大事故が発生する可能性も高まるわけだ。
なによりも守るべきは人命である。イベントが盛り上がった代償として、一部の人が悲しみに暮れるような出来事がないようにしなくてはいけない。
オフィシャルの確保
三宅島で公道レースを行なった場合、もっとも困難なのはオフィシャルの確保だ。
1周が約29.5キロメートルのコースで、100メートルにつきひとりのオフィシャルを置いたとしても295人の人手が必要になる。しかし、100メートルおきにひとりというのは、安全を確保する上ではまったく意味を成さないので、実際にはこの6倍から8倍程度の人手が必要となると思われる。
それだけの人間を確保するのは非常に困難であるといわざるを得ないだろう。
その対策のひとつとして提案したいのが、『観客のオフィシャル化』である。
観客をオフィシャルにするというのも随分と無謀だが、見学している人たちに旗振りをお願いするとか、転倒したバイクの引き起こしをお願いするというわけではない。
観客には、万が一の場合の通報をお願いするのだ。
たとえば、オフィシャルは1キロメートルおきに、15人程度ずつ配置する。そして、配置地点から次の配置地点までを受け持つようにして、通報があり次第、すぐに駆けつけられるようにするのだ。
コース上には100メートルおきにキロポスト表示などを設置し、観客は転倒があった地点のキロポストを本部に通報する。そして本部は通報のあったキロポスト地点を受け持つ配置地点に連絡し、緊急の対応を行なうのである。
また、配置地点は同時にフラッグタワーを兼ねることで、転倒などがあった場合はすぐにライダーに対して警告を発することができるし、イエロー区間も1キロメートルごと、というように分かりやすくすることができる。
さらに、各配置地点には、ふたり乗りが可能なスクーターを2台ずつ配置しておくというのもいいかもしれない。万が一の場合にはスクーターで急行することが可能であるし、必ずふたりひと組で行動することになるので、備えも万全にできるであろう。また、スクーターのメットインボックスの中にファーストエイドキットを入れておくことで、救急車が来るまでの応急処置も可能になるだろう。
念のため、5分おき程度でスクーターに搭乗したオフィシャルが、配置地点をリレー形式で移動するのもいいかもしれない。こうすることで、観客のいない空白地域や危険区域内もカバーするのである。
救命
三宅島を訪れた際、意識して探したもののひとつに、病院設備があった。
しかし残念ながら、伊豆・神着地区に中央診療所を1軒見つけることができただけで、ほかに発見することができなかった。実際には、ほかにも診療所があるのかもしれないが、時間的制約の中、細かく探すことができなかったのである。
そこで、『救急車両を最低でも3台確保』することを提案したい。可能であれば、ハイパーメディカル対応の救急車両が望ましいだろう。
これらの救急車両は、先に述べたオフィシャルの配置にあわせて、10キロメートルおきに1台ずつ配置し、万が一の場合は急行できるようにしておく。
そしてまた、10キロメートルおきに臨時の診療所を設置して、一時的な処置を行なうようにする。そこで処置が完結すれば良いが、万が一の場合はさきほどの診療所に連れて行くことになるだろう。
しかし、万が一の場合を考えるのであれば、ヘリポートを利用するのも早いかもしれない。
臨時診療所を出たら、伊豆・神着地区にあるヘリポート、もしくは三宅島空港に搬送し、そこからさらに集中治療できる場所へと緊急搬送するのである。
ただ、そのためには三宅島空港の復旧が課題となるが…。
次回予告
いささか駆け足になってしまい、完全とは言えないが、ひとまず考え付く限りの提案を3回に分けて行なってきた。
現実味を帯びていないもの、実現可能ではあるが費用がかかるもの、新たな問題点を生み出すもの、とそれぞれあるが、関係者ではない筆者には、この程度が限界ということでご容赦いただきたい。
さて、次回からは、「こんなレースはどうだろうか?」という提案をしてみたいと思う。もちろん、これまでに述べた意見を踏まえての提案であるし、もっと言ってしまえば筆者が三宅島を訪れた際に「実際にやってみた三宅島ツーリストトロフィー」である。



